樹医とは
弊社代表は樹医として、樹木(植物)自身が持つ自然回復力による樹木の樹勢回復を主眼に研究する「NPO法人藪会(全国の会員約100名):代表・内田清市 親方 」に於いて、技術担当の理事として長年活動しています。
一般的に樹医とは、樹勢の衰えた名木や古木を診断し治療して蘇らせる技術を持つ人です。それらの理論や技術は、幅も奥も深く、まだ研究段階のものも多いですが、NPO法人藪会では、土壌の改良(物理性、化学性、微生物性)や、樹木の患部や根の部分への有効物質の散布や投与による治療と、その後の定期的管理によって樹勢回復を実現しています。特に何百年も生きている由緒ある名木の治療は大変難しいですが、大変意義のある仕事です。
樹勢回復事例
学校や寺社境内などに残る老大木は、その地域に生まれ、育ち、生活する人々にとって精神的風土として共有され、心のやすらぎ、地域社会の連帯意識などからも貴重な存在といえます。
しかし、都市化の進行と共にその生育環境は過酷とも云える状況になっていきます。大気、工事による根の切断、舗装化による雨水の遮断、人々による踏圧、化学物質によるアルカリ化など土壌条件が悪化し、根の衰弱、幹や枝葉の衰弱、そして枯死と進行していくのです。
自然界では、落葉が堆積し腐葉土となり、昆虫やバクテリアの働きによって永久的に良好な状態が保たれていきますが、都市部においては落葉の堆積は望めません。多くの樹木では根頭癌種病(コントウガンシュビョウ)にかかり、樹勢の衰退が見られるようになります。
樹勢の衰退を防ぎ、又、衰退し傷ついた老大木を活性化する為に、当社はNPO法人藪会(樹勢回復研究所)の一員として、樹勢回復技術の研究を行い、実施しています。学校や寺社境内などに残る老大木は、その地域に生まれ、育ち、生活する人々にとって精神的風土として共有され、心のやすらぎ、地域社会の連帯意識などからも貴重な存在といえます。
改良前
改良後
これはケヤキの細根の発根状況です。根を切断し、土壌改良材ワカホを用いた結果、根の切断部から若々しい細根が多数発根しました。
樹木治療事例展示
愛地球博2005
樹勢回復治療樹木展示
クスノキ
樹高:9m 幹周:1.9m 葉張り:3.5m
平成17年3月にクスノキを東京都調布市から運搬し、植付けを行った。幹の上部より多数の不定根が発根し、再生に至る途中経過を多くの方々に見ていただいた。
治療中
治療後
交通事故による被害樹木治療
樹皮再生治療(東京都町田市)
ソメイヨシノ 樹高:9m 幹周:1.15m 葉張り:7m
街路樹のソメイヨシノに自動車が衝突し、巾85cm、高さ75cmの範囲の樹皮が剥ぎ取られた。
<治療法>
樹木自体の活力向上の為、植栽帯の土壌改良を「ワカホP45」を用いて行った。樹皮再生の為、「キノネデール」を用いて損傷部分の治療を行った。
治療風景と不定根の発根状況
幹や太枝などの損傷部位を治療し、不定根の発生を促し、不定根とカルスの発達により腐朽部位の再生を目指します。
又、不定根を地面まで誘引し、生長させ、支持根、生活根の機能を持たせ、樹勢回復を計ります。
藪会式の樹勢治療にはウレタン・モルタルなど化学物質は用いません。
治療前
治療中
治療後
相模原市・榎神社:エノキ (幹周3.95m)
地上4m部分から周75~200cmの9本の太枝に分かれ、その中心部分は腐朽が進み、10年前・1昨年と台風により大枝だが欠け落ちた。その都度手当が行われたが、直らずに腐朽は進行しており、上部の枝葉は衰退が著しく危険である。
今回はキノネデールを用いて治療を行い、今後の状況を観察する。
治療中
治療後
津田塾大学グラウンド周りソメイヨシノ
樹齢約80年のソメイヨシノ26本(幹周約2.5m)
第一期
ワカホによる土壌改良により、多数の細根が発根し、枝葉が元気になり花のピンク色も濃く美しくなった。
第二期
樹幹部の再生治療を行い、不定根の発達、樹幹部の再生が進行中。
第三期
二期に引き続き10本の樹幹部再生治療を実施。
治療中
治療後